Step2 関数の極限

関数の極限

数列の極限が理解できていれば、関数の極限も同じように理解することが可能です。数列の極限のイメージは

番号 n の値が限りなく大きくなるにつれて、 a_n の値がある一定の値 \alpha に限りなく近づく

というものでした。Step1で説明したように、このイメージは

任意の正の数 \varepsilon に対して、ある番号 N(\varepsilon) が存在し、 n \geq N(\varepsilon) をみたすすべての n に対して、 | \, a_n \, - \, \alpha \, | < \varepsilon が成り立つ

という形で正確に定義されました。 N(\varepsilon) の値が(普通は)大きいという事実を思い出すと、上の定義の「 n \geq N(\varepsilon) をみたすすべての n に対して」という部分が、「番号 n の値が限りなく大きくなるにつれて」というイメージの部分に対応していると考えられます。

数列の極限の場合を参考にすると、関数の極限のだいたいのイメージは

変数 x の値が a に限りなく近づくにつれて、 f(x) の値がある一定の値 \alpha に限りなく近づく

のようになるでしょう。変数 x を番号 n に対応させて考えると、数列の極限と関数の極限のイメージは本質的に同じものであることがわかります。

数列の極限の場合は、 N(\varepsilon) が大きいことを前提として、「番号 n の値が限りなく大きくなるにつれて」というイメージを不等式 n \geq N(\varepsilon) で表現していました。

それに対して、関数の極限の場合の「変数 x a に限りなく近づくにつれて」というイメージは、不等式 | \, x \, - \, a \, | < \delta(\varepsilon) で表現されます。 \delta はギリシア文字で「デルタ」とよばれます。

ここでは、 \delta(\varepsilon) が小さいことを前提にしています。実際、 | \, x \, - \, a \, | が2点 x a の間の距離を表すことを思い出すと、 | \, x \, - \, a \, | < \delta(\varepsilon) x a から距離 \delta(\varepsilon) だけ離れた範囲内にあることを意味しています。したがって、 \delta(\varepsilon) の値が小さければ、 x a の近くにあることになります。

以上のように、関数の極限は数列の極限と同じように理解されるのですが、1つだけ注意しなければならないことがあります。

それは、変数 x の値が a に限りなく近づくとき、変数 x の値は a 以外の値を取るということです。つまり、関数の極限の正確なイメージは

変数 x の値が a 以外の値を取りながら a に限りなく近づくにつれて、 f(x) の値がある一定の値 \alpha に限りなく近づく

なのです。そこで、先ほどの不等式を

0 < | \, x \, - \, a \, | < \delta(\varepsilon)

のように修正します。このようにすれば、 0 < | \, x \, - \, a \, | x \neq a を意味するので、 x a という値をとることはできません。

以上を踏まえて、関数の極限を次のように定義します。

任意の正の数 \varepsilon に対して、ある正の数 \delta(\varepsilon) が存在し、 0 < | \, x \, - \, a \, | < \delta(\varepsilon) をみたすすべての x に対して、 | \, f(x) \, - \, \alpha \, | < \varepsilon が成り立つとき、関数 f(x) x \to a のとき \alpha に収束するといい、 \displaystyle\lim_{x \to a} f(x) = \alpha と表す。また、 \alpha x \to a のときの f(x) の極限値という。

これが、イプシロンデルタ論法にもとづく関数の極限の定義とよばれているものです。この定義における最も重要なポイントは、正の数 \delta \varepsilon の関数であることです。関数 \delta(\varepsilon) の存在が関数の極限値への収束を保証しているのです。それは、数列の場合と全く同じです。

\delta \varepsilon の関数で、 \delta(\varepsilon) の存在が関数の極限値への収束を保証することはわかりました。でも、 \varepsilon の値が小さくなると、 \delta(\varepsilon) の値は小さくなるのでしょうか?数列の場合は、 \varepsilon の値が小さくなると、 N(\varepsilon) の値は大きくなりましたが。

\varepsilon の値が小さくなると、 \delta(\varepsilon) の値も(普通は)小さくなります。言葉で説明するのは難しいので、次の図を見て考えてみましょう。図1の \varepsilon の値は、図2の \varepsilon の値よりも小さくなっています。このとき、図1の \delta(\varepsilon) の値は、図2の \delta(\varepsilon) の値よりも小さくなっています。

 

 

上の定義を理解するために、関数 f(x) = x^2 について、 \displaystyle\lim_{x \to 2} f(x) = 4 、すなわち、 x \to 2 のとき f(x) 4 に収束することを示してみます。目標は、

任意の正の数 \varepsilon に対して、ある正の数 \delta(\varepsilon) が存在し、 0 < | \, x \, - \, 2 \, | < \delta(\varepsilon) をみたすすべての x に対して、 | \, f(x) \, - \, 4 \, | < \varepsilon が成り立つ

という主張を示すことです。そのために、この主張の最後の不等式 | \, f(x) \, - \, 4 \, | < \varepsilon に注目します。
| \, f(x) \, - \, 4 \, | = | \, x^2 \, - \, 4 \, | = | \, x \, + \, 2 \, | | \, x \, - \, 2 \, |
ですから、 | \, x \, + \, 2 \, | | \, x \, - \, 2 \, |< \varepsilon が成り立つような x の範囲を探せばよいことになります。 x 2 に近ければ、 | x + 2 | 4 に近いと思われます。そこで、 x 2 に近いと考えて、 | x + 2 | < 5 と仮定します。

ここでは、余裕をもたせるために、 4 1 を加えて 5 にしました。

このとき、 | x \, - 2 | < \frac{\varepsilon}{5}
であれば、
\begin{array}{l} |f(x) \, - \, 4| = |x+2| |x-2| \\[2ex] \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ < 5 | x-2| < 5 \cdot \displaystyle\frac{\varepsilon}{5} = \varepsilon \end{array}
となります。

上の議論は、 | x + 2 | < 5 の仮定の下で考えたものでした。この不等式は、 -5 < x + 2 < 5 、すなわち、 -7 < x < 3 と同じです。よって、 x の範囲を -7 < x < 3 よりも狭くして 1 < x < 3 、つまり、 | x \, - 2 | < 1 をみたすように制限しておけば、 | x + 2 | < 5 が成り立ち、この議論が使えることになります。以上により、 | x \, - 2 | < \displaystyle\frac{\varepsilon}{5} \ \ \ かつ \ \ \ | x \, - 2 | < 1 をみたす x であれば | \, f(x) \, - \, 4 \, | < \varepsilon となることがわかります。そこで、
\delta(\varepsilon) = \min( \frac{\varepsilon}{5}, \ 1 )
と定めます。ここで、 \min(x, y) x, \, y のうちの小さいほう(等しい場合はどちらでもよい)を表します。このとき、 \delta(\varepsilon) \leq \displaystyle\frac{\varepsilon}{5} \delta(\varepsilon) \leq 1 の両方が成り立つことに注意すると、 | \, x \, - \, 2 \, | < \delta(\varepsilon) | x \, - 2 | < \displaystyle\frac{\varepsilon}{5} かつ | x \, - 2 | < 1 を意味します。

x 0 < | \, x \, - \, 2 \, | < \delta(\varepsilon) をみたすとします。このとき、 | x \, - 2 | < 1 ですから、 | x + 2 | < 5 が成り立ちます。したがって、
\begin{array}{l} |f(x) \, - \, 4| = |x + 2| |x - 2| \\[2ex] \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ < 5 | x -2| < 5 \, \delta(\varepsilon) \leq 5 \cdot \displaystyle\frac{\varepsilon}{5} = \varepsilon \end{array}
となります。以上より、任意の正の数 \varepsilon に対して、 \delta(\varepsilon) = \min( \displaystyle\frac{\varepsilon}{5}, 1 ) と定めると、 0 < | \, x \, - \, 2 \, | < \delta(\varepsilon) をみたすすべての x に対して、 | \, f(x) \, - \, 4 \, | < \varepsilon が成り立つことがわかります。

\delta(\varepsilon) = \min( \displaystyle\frac{\varepsilon}{5}, \ 1 ) \varepsilon の関数なのでしょうか?

\delta(\varepsilon) \varepsilon の関数です。例えば、 \varepsilon の値を 10, \, 1, \, 0.1 のように選ぶと、 \delta の値は、それぞれ 1, \, 0.2, \, 0.02 のようにただ1つに決まります。一般の \varepsilon に対しても \delta の値はただ1つに決まります。

\delta(\varepsilon) \varepsilon の関数であることはわかりました。しかし、 \delta(\varepsilon) を定めるときに、 \min を使うのはちょっと難しく感じます。何か他の方法はないのでしょうか?

\min を使うのはうまい方法なのですが、慣れないうちはちょっと難しく感じるかもしれません。 \min を使いたくない場合は、例えば、正の数 \varepsilon に対して \varepsilon < 5 という制限をつけた上で、 \delta(\varepsilon) = \displaystyle\frac{\varepsilon}{5} と定めるのがよいでしょう。実際、この制限をつけると、 | x \, - 2 | < \displaystyle\frac{\varepsilon}{5} ならば | x \, - 2 | < 1 が成り立ちます。 正の数 \varepsilon は任意に選べますが、意味があるのは \varepsilon が小さいときですので、このような制限をつけても問題はありません。

練習問題2  f(x) = \sqrt{x} のとき、 \displaystyle\lim_{ x \to 1 }f(x) = 1 であることを示しなさい。

 

 

関数の連続性

関数のグラフを書いたときに、途中でグラフが途切れたり、穴が空いていたりしないとき、その関数は連続であるといいます。正確には、次の2つの条件がみたされるとき、関数 f(x) x = a で連続であるといいます。

(A) f(x) x = a で定義されている。
(B) \displaystyle\lim_{x \to a} f(x) が存在し、 \displaystyle\lim_{x \to a} f(x) = f(a) が成り立つ。

例えば、下の図 (1) では、 x = a において極限値 \displaystyle\lim_{x \to a} f(x) が存在し、 \displaystyle\lim_{x \to a} f(x) = f(a) が成り立ちます。この場合、関数は x = a で連続で、グラフが途切れたり、穴が空いていたりすることはありません。

一方、図 (2) では、 x = a において極限値 \displaystyle\lim_{x \to a} f(x) が存在しません。

図 (3) では、 x = a において極限値 \displaystyle\lim_{x \to a} f(x) は存在しますが、 \displaystyle\lim_{x \to a} f(x) \neq f(a) です。

図 (2) と (3) は関数が x = a で不連続な場合の例です。図 (2) ではグラフが途切れています。図 (3) ではグラフに穴が空いています。

 

上の2つの条件のうち、極限に関するものは (B) のほうです。イプシロンデルタ論法を用いると、条件 (B) 「 \displaystyle\lim_{x \to a} f(x) が存在し、 \displaystyle\lim_{x \to a} f(x) = f(a) が成り立つ」は、

任意の正の数 \varepsilon に対して、ある正の数 \delta(\varepsilon) が存在し、 0 < | \, x \, - \, a \, | < \delta(\varepsilon) をみたすすべての x に対して、 | \, f(x) \, - \, f(a) \, | < \varepsilon が成り立つ。

のように書くことができます。しかし、上の最後の不等式 | \, f(x) \, - \, f(a) \, | < \varepsilon x = a でも成り立ちます。実際、条件 (A) 「関数 f(x) x = a で定義されている」を思い出すと、 f(x) x = a を代入することができて、 | \, f(a) \, - \, f(a) \, | = 0 < \varepsilon となります。したがって、上の条件 (B) に関する文を

任意の正の数 \varepsilon に対して、ある正の数 \delta(\varepsilon) が存在し、 | \, x \, - \, a \, | < \delta(\varepsilon) をみたすすべての x に対して、 | \, f(x) \, - \, f(a) \, | < \varepsilon が成り立つ。

のように修正することができます。 x = a で関数 f(x) が定義されているとき、 f(x) x = a で連続である条件は、このように表されるのです。

 

関数の連続性を理解するために、 f(x) = x^2 x = a で連続であることを示してみましょう。この関数は、すべての x に対して定義されているのは明らかですので、目標は、

任意の正の数 \varepsilon に対して、ある正の数 \delta(\varepsilon) が存在し、 | \, x \, - \, a \, | < \delta(\varepsilon) をみたすすべての x に対して、 | \, f(x) \, - \, f(a) \, | < \varepsilon が成りたつ。

という条件を示すことです。そのために、最後の不等式 | \, f(x) \, - \, f(a) \, | < \varepsilon に注目して、この不等式が成り立つような x の範囲を探します。 \begin{array}{l} | \, f(x) \, - \, f(a) \, | = | \, x^2 \, - \, a^2 \, | \\[2ex] \ \ \ \ \ \ \ \ = | \, x \, - \, a \,| | \, x \, + \, a \,| \end{array}
であるから、 |x \, - \, a| | x \, + \, a | < \varepsilon が成り立つような x の範囲を求めましょう。ここでは、 x a に近いことに注意して、 | x + a | 2|a| に近いと考えます。つまり、 x a に近く、
| x + a | < 2|a| + 1
をみたすと仮定します。上の式で、 1 を加えたのは余裕をもたせるためであって、加える正の数は 1 である必要はありません。例えば、 4 でもかまいません。このとき、
| x \, - \, a | < \frac{\varepsilon}{2|a| + 1}
ならば、
\begin{array}{rcl} | \, f(x) \, - \, f(a) \, | & =  &| \, x \, - \, a \,| | \, x \, + \, a \, | \\[2ex] & < & \displaystyle\frac{\varepsilon}{2|a| + 1} \cdot (2|a| + 1 ) = \varepsilon \end{array} が成り立ちます。これは、 | x + a | < 2|a| + 1 という仮定の下で得られた結果です。そこで、 x がどの程度 a に近いときに、この仮定が成り立つのかを考えてみます。いま、仮に | x \, - \, a | < \rho としてみましょう。ただし、 \rho の値は | x + a | < 2|a| + 1 が成り立つように後で決めることにします。このとき、 x a を中心とする半径 \rho の円(区間)の内部にあるので、 |x| < |a| + \rho が成り立ちます(図を書いて確かめてみてください)。よって、
\begin{array}{l} | x + a | \leq |x| + |a| \\[2ex] \ \ \ \ < |a| + \rho + |a| \\[2ex] \ \ \ \ = 2|a| + \rho \end{array}
となります。ゆえに、 \rho \leq 1 であれば、上の不等式は
| x + a | < 2|a| + 1
のようになります。したがって、とくに \rho = 1 の場合を考えると、 | x \, - \, a | < 1 であれば | x + a | < 2|a| + 1 が成り立ちます。以上より、 | x \, - \, a | < \frac{\varepsilon}{2|a| + 1} \ \ \ かつ \ \ \ | x \, - \, a | < 1 ならば | \, f(x) \, - \, f(a) \, | < \varepsilon となることがわかります。そこで、 \delta(\varepsilon) = \min\left( \frac{\varepsilon}{2|a| + 1}, \ 1 \right)
と定めます。このとき、 | x \, - \, a | < \delta(\varepsilon) ならば | x \, - \, a | < 1  より、 | x \, + \, a | < 2|a| + 1 となります。よって、 | x \, - \, a | < \delta(\varepsilon) ならば \begin{array}{l} | f(x) \, - \, f(a) | = | x \, - \, a| | x \, + \, a | \\[2ex] \ \ \ \ < | x \, - \, a| (2|a| + 1) \\[2ex] \ \ \ \ < \delta(\varepsilon) (2|a|+ 1) \\[2ex] \ \ \ \ \leq \displaystyle\frac{\varepsilon}{2|a| + 1} \cdot (2|a| + 1) = \varepsilon \end{array}
が成り立ちます。したがって、 f(x) = x^2 x = a で連続であることがわかります。

先ほどの関数の連続性の定義では、 \delta \varepsilon に依存して決まるものなので、 \varepsilon の関数だと思っていました。しかし、この例では \delta = \min\left( \displaystyle\frac{\varepsilon}{2|a| + 1}, \ 1 \right) とおいたので、 \delta \varepsilon だけでなく a の関数でもあるように思います。

いいところに気が付きましたね。確かにその通りです。

 

これまではきちんと述べていませんでしたが、関数には定義域、つまり、関数が定義されている範囲があります。普通は、関数の定義域は数直線上の区間で、 I という文字で表されることが多いです。例えば、関数 f(x) = x^2 が区間 I = [a, \, b] 上で定義されるというときの区間は、
[a, \, b] = \{ \, x \, | \, a \leq x \leq b \, \}
で表される集合です。この場合、関数 f(x) = x^2 a \leq x \leq b をみたす x に対して定義されていることになります。関数は
(a, \, b) = \{ \, x \, | \, a < x < b \, \}
のように、両端が含まれない区間の上でも定義することができます。また、実数全体の集合は記号 {\bf R} で表されますが、これも区間と考えられています。実際、 {\bf R} = (-\infty, \, \infty) のように書くこともあります。関数 f(x) = x^2 {\bf R} = (-\infty, \, \infty) 上で定義された関数です。

関数 f(x) は区間 I 上で定義されているとします。このとき、 f(x) I 上で連続であるとは、 I 上の任意の点 a f(x) が連続であることを意味します。つまり、区間 I 上て定義された関数 f(x) I 上で連続であるという定義は

任意の a \in I と任意の正の数 \varepsilon に対して、ある正の数 \delta(\varepsilon ; \, a) が存在し、 | \, x \, - \, a \, | < \delta(\varepsilon ; \, a) をみたすすべての x に対して、 | \, f(x) \, - \, f(a) \, | < \varepsilon が成り立つ。

のようになります。ここで、 \delta \varepsilon a の2変数の関数になることに注意しましょう。 {\bf R} 上で定義された関数 f(x) = x^2 については、

任意の a \in {\bf R} および任意の正の数 \varepsilon に対して、
\delta(\varepsilon ; \, a) = \min\left( \displaystyle\frac{\varepsilon}{2|a| + 1}, \ 1 \right)
とおくと、 | f(x) \, - \, f(a) | < \varepsilon であることが示されていたのです。したがって、関数 f(x) = x^2 {\bf R} 上で連続です。

区間 I 上で定義された関数 f(x) I 上で連続であることを示す場合、 \delta \varepsilon だけでなく、 a の関数でもあることはわかりました。それでは、 \delta \varepsilon だけの関数になることはありえるのでしょうか?

はい、それはありえます。 \delta a に依存せず、 \varepsilon だけの関数になるとき、 f(x) I 上で一様連続であるといいます。この一様連続性は解析学とよばれる分野で重要な役割を果たすことが多いです。

 

練習問題3 関数 f(x) = x^2 - 2x {\bf R} 上の任意の点 a で連続であることを示しなさい。

練習問題4  (1) f(x) = x^2 が区間 [0, 1] 上で一様連続であることを示しなさい。

(2) f(x) = x^2 が区間 [a, b] 上で一様連続であることを示しなさい。ただし、 a b は有限の実数であるとします。

(3) f(x) = x^2 {\bf R} 上で一様連続でしょうか?

 

関数 f(x) = x^3 {\bf R} 上の任意の点 a で連続であることを示そうと思ったのですが、できませんでした。

それは、ちょっと難しいので、付録で説明しますよ。

技術的な話へ進む前に

以上で、イプシロンデルタ論法の説明はひとまず終わりました。イプシロンデルタ論法のアイデア自体は単純なもので、関数の極限に関する問題を、関数 \delta = \delta(\varepsilon) の存在問題に帰着させることに本質があります。これは、「あの高校はよい学校です」というイメージを、例えば、「あの高校には昨年度に国公立大学へ進学した卒業生はいるか?いるとすれば何人か」という観点から、「あの高校には昨年度に国公立大学へ進学した卒業生がいます。その人数は300人です。」という正確な文で表現することと同じです。イプシロンデルタ論法を理解するためのキーポイントは、この本質を認識しているかどうかだと思います。

ただし、実際にイプシロンデルタ論法を使いこなすためには、ある程度の技術的な訓練が必要になります。不等式の計算をしたり、主張を論理記号で表したり、否定命題をつくったり、というようなことが技術的な部分であり、習得に時間がかかるところです。それらに興味のある人は次の Step3に進んで下さい。

イプシロンデルタ論法の考え方が理解できたかどうかを確かめるために、例えば、Step1の新幹線の話を用いて、関数の極限(関数の連続性)の考え方を説明してみるとよいかもしれませんね。

 

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