3次関数の連続性

付録

関数 f(x) = x^3 x = a で連続であることを示してみましょう。この関数は、すべての x に対して定義されているのは明らかですので、目標は、

任意の正の数 \varepsilon に対して、ある正の数 \delta(\varepsilon) が存在し、 | \, x \, - \, a \, | < \delta(\varepsilon) をみたすすべての x に対して、 | \, f(x) \, - \, f(a) \, | < \varepsilon が成りたつ。

という条件を示すことです。そのために、最後の不等式 | \, f(x) \, - \, f(a) \, | < \varepsilon に注目して、この不等式が成り立つような x の範囲を探します。

| \, f(x) \, - \, f(a) \, | = | \, x^3 \, - \, a^3 \, | = | \, x \, - \, a \,| | \, x^2 \, + \, xa \, + \, a^2 \,|

であるから、 |x \, - \, a| | x^2 + xa + a^2 | < \varepsilon が成り立つような x の範囲を求めましょう。ここでは、 x a に近いと仮定して、 | x^2 + xa + a^2 | 3a^2 に近いと考えます。よって、 x a に近いとき、

| \, x^2 \, + \, xa \, + \,  a^2 \, | < 3a^2 \, + \, 1

であると考えれば十分でしょう。上の式で、 1 を加えたのは余裕をもたせるためであって、加える正の数は 1 である必要はありません。例えば、 4 でもかまいません。このとき、
\delta(\varepsilon) = \frac{\varepsilon}{3a^2 + 1 }
と定めれば、 | x \, - \, a | < \delta(\varepsilon) ならば

| \, f(x) \, - \, f(a) \, | = | \, x \, - \, a \,| | \, x^2 \, + \, xa \, + \, a^2 \, | < \delta(\varepsilon) \cdot (3a^2 + 1 ) = \varepsilon

が成り立ちます。これは、 | x^2 + xa + a^2 | < 3a^2 + 1 という不等式を使って得られた結果です。しかし、 x がどの程度 a に近いときに、この不等式が成り立つのかは未だわかりません。そこで、仮に | x \, - \, a | < \varepsilon としてみます。このとき、 x a を中心とする半径 \varepsilon の円(区間)の内部にあるので、 |x| < |a| + \varepsilon が成り立ちます。よって、

\begin{array}{l} |x^2 + xa + a^2| \leq |x^2| + |xa| + |a^2| \\[2ex] \ \ \ \ < (|a| + \varepsilon)^2 + |a|(|a| + \varepsilon) + a^2 \\[2ex] \ \ \ \ = |a|^2 + 2 |a| \varepsilon + \varepsilon^2 + |a|^2 + |a| \varepsilon + a^2 \\[2ex] \ \ \ \ = 3a^2 + 3|a|\varepsilon + \varepsilon^2 \end{array}

となります。さらに、 \varepsilon は十分小さい数で \varepsilon < 1 であるとすれば、 \varepsilon^2 < \varepsilon ですから、上の不等式は

\begin{array}{l} |x^2 + xa + a^2| < 3a^2 + 3|a| \varepsilon + \varepsilon^2 \\[2ex] \ \ \ \ < 3a^2 + 3|a| \varepsilon + \varepsilon \\[2ex] \ \ \ \ = 3a^2 + (3|a| + 1) \varepsilon \end{array}

のように計算できます。したがって、 (3|a| + 1) \varepsilon <1 をみたすように正の数 \varepsilon を十分小さくとっておけば、 \varepsilon < 1 が成り立ちますので、 | x \, - \, a | < \varepsilon ならば | x^2 + xa + a^2 | < 3a^2 + 1 であることがわかります。

以上より、 0< \varepsilon < \displaystyle\frac{1}{3|a|+1} をみたすような任意の正の数 \varepsilon に対して、

\delta(\varepsilon) = \frac{\varepsilon}{3a^2 + 1}

と定めます。このとき、 | x \, - \, a | < \delta(\varepsilon) ならば \displaystyle\frac{\varepsilon}{3a^2+1} \leq \varepsilon より、 | x \, - \, a | < \varepsilon となります。よって、 | x \, - \, a | < \delta(\varepsilon) ならば | x^2 + xa + a^2 | < 3a^2 + 1 であり、

\begin{array}{l} | f(x) \, - \, f(a) | = | x \, - \, a| |x^2 + xa + a^2| \\[2ex] \ \ \ \ < | x \, - \, a| (3a^2 + 1) \\[2ex] \ \ \ \ < \delta(\varepsilon) (3a^2 + 1) \\[2ex] \ \ \ \ = \displaystyle\frac{\varepsilon}{3a^2 + 1} \cdot (3a^2 + 1) = \varepsilon \end{array}

が成り立ちます。したがって、 f(x) = x^3 x = a で連続であることがわかります。なお、この議論では正の数 \varepsilon 0< \varepsilon < \displaystyle\frac{1}{3|a|+1} という制限を付けました。本来 \varepsilon は小さい数であると考えていますので、このような制限を付けることは全く問題ありません。

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